こんにちは! ジェモセラピーカレッジです。
2019年4月2~10日、ジェモセラピストさんたちと当協会が提携する、フランスHERBIOLYS(エルビオリス)研究所へジェモセラピー研修旅行に行ってまいりました。
研究所のあるフランスの南東部オートザルプは、都市から離れ、山に囲まれた自然豊かな所です。空気は美味しく、いつでも深呼吸したくなる、とても素敵な場所でした。
2019年4月4日
今日の午前中は、エルビオリス研究所見学をしました。
エルビオリス研究所の要である研究棟は、「全てが厳重に管理された天井の高い工場」といった趣きですが、ジェモの製造工程は全て手作業です。鮮やかな色とりどりの母液が大きなビンに入っています。その中には、ミックスジェモのベースである発酵カシスの液もありました。それは活き活きとした赤色をしており、本当に「元気で爽やか」な澄んだ味わいでした。また、日本に輸入するのに必要な塩も見せていただきました。ブルターニュの天然塩で、濃いクリーム色をした不揃いな形のものです。深みのある味に感激しました。この工場の中には新鮮な植物のエネルギーにあふれていました。
現在、新しい研究棟を建設中で、6月に竣工予定だそうです。現在の研究棟より格段に広く、効率と省エネ、自然保護を重視したものでした。どんどん大きくなるエルビオリス研究所の勢いを感じました。
2019年4月5日
今日の午前中は、エルビオリス研究所でセリーヌさんの講座を受けました。セリーヌさんはジェモセラピー協会の全てのテキストを作成した方です。
講座の最初に、エルビオリス研究所内の様子と製造工程についての最新の動画を見ました。まだ、公開前だそうです! ますます拡大しているエルビオリスのパワーを感じました。機械化は進んでいても、必ず人が一生懸命働いているそんな様子が映し出されていました。
講座は、
「アレルギー・不眠・神経系のトラブルなど症例別にどのようなジェモを勧めますか? 」
とセリーヌさんの質問から始まるものでした。
生徒さんは次々に自分の考えを言い、セリーヌさんは「それはいい選択です」「それは私なら一番にはオススメしないですね」、さらに「どうしてそれを勧めようと思ったのですか?」など返します。
そこで生徒さんが再び自分の考えを話したりすることで、講座開始後10分もしないうちにクラス全体が盛り上がっていきました。
その後、セリーヌさんオススメの症例別ジェモや、セリーヌさんの考えと勧める順序などについて各新芽についての症例別の詳細を教えてくださいました。
午後は、エルビオリス研究所から少し離れたところにあるバルショネットという小さな村で、野山の植物を見ながら、フィトやジェモについてオレリアンさんという方に説明していただきました。
オレリアンさんは、普段は鍼灸師をしながら野草をハーブティーの会社に販売したりしているそうです。
本物の植物と大自然を前にしてナラやギンヨウボダイジュの話を聞くと、入り方が全然違います!すごいエネルギーをもらっている感じです。
イヌバラには新葉の他に果実もついていたので、ジェモやフィト両方の話を聞くことができました。最近の気候変動に一喜一憂せず、自然の変化を長い目で見るオレリアンさんの心の落ち着きに、感激しました。
夜はギャップという街のホテルで、エルビオリスのスタッフの数名の方に会いました。皆さん、ブノア社長のもとで働けることに幸せと誇りを持っている素敵な方たちでした。
直接話してみて、エルビオリスの魅力を再確認。エルビオリスの良さをもっと理解し、よりたくさんの方に伝えていきたい!と強く感じました。
2019年4月6日
この日はギャップのホテルを出て、カトリーヌさんの住む町まで移動しました。朝から夜まで、長時間のドライブの間、セリーヌさんとたくさんのことを話しました。
ジェモセラピーに関しては、お客様にどのようにジェモを勧めるかを聞きました。まずは、その人と会った時に頭に思い浮かんだものを1本。そして話した後に、その人に合うと思ったものを1〜2本。
直感で1本、理論的に1〜2本、合わせて2〜3本から選びます。カウンセリングの回数を重ねると、症例とは関係なく、初めに直感で選んだものがその人にぴったりくることもあるとか。
ただ、直感が当たるのは、場数を踏んで得られたのでしょう。回数を重ねることと自信を持つことが、お客様へのジェモ選びには大切だと言っていました。心のきれいなセリーヌさんの、相談に乗っている真剣な姿が目に浮かびました。
あと、別なところでセリーヌさんは、自分が幸せだと相手も幸せにできると言っていました。まずは自分を大切に、自分の気持ちを大切にして相手に向き合うことを心がけたいと思いました。
2019年4月7日
今日はカトリーヌさんのセミナー1日目として、午前の部では、植物についてさまざまな側面から勉強しました。
植物の性質と人との類似性、形態学的な特徴、人への効果などの説明を通して、植物に対する新しい視点を得られました。お昼をはさんで午後からは二人一組での実践の作業です。
まず初めに、カトリーヌさんが実際の商品で用いている製品情報の記録の方法を教わりました。
その次に、グリセリン−水−アルコール溶媒を作成しました。各々の液体を重量で計り取るのですが、最後の1gまで正確に計り取ろうと、皆さん真剣な表情で行いました。
溶媒作成後は、いよいよ芽摘みです。
まずはホテルの前にあるマロニエ(Marronier d’Inde)の芽を摘みました。手を良く洗った後、これから摘む木に向かって挨拶をし、摘み時の芽を選んで感謝をしながら丁寧に一つ一つ摘み取ります。
「笑顔で丁寧にひとつひとつ芽を摘み取る」
いつも出てくるおなじみのフレーズですが、本当にその通りに摘みました。そのおかげか、自分が向き合った芽の様子や感触は、不思議と今でも眼や手に残っています。
ここでも重量を正確に合わせます。多く摘み取りすぎたら、捨てるのではなくハーブティーにするのよとカトリーヌさんは言いました。
とにかく、何物もひとつ残らず無駄なものはないという考えに基づいた発言で、見習うべきところだと思いました。摘み取った後は再び挨拶をし、終了です。
カトリーヌさんの家の庭でも芽摘みをさせていただきました。
二人一組で一種類の植物から芽を摘みましたが、一個の芽が小さいセイヨウミズキは、なかなか最終的な重量に到達せず、皆で歌を歌いながら協力して摘みました。
皆のこの姿を見ていたカトリーヌさんは、本当にいいジェモができるとおっしゃっていました。
私はもう一人の生徒さんと二人でセイヨウナシ(Pyrus communis)の芽を摘みました。大きな木で、アザミをはじめ多くの種類の植物が下草として木を囲むように生えていました。
芽を摘んでいる時に、不思議な体験をしました。
摘みどきの芽を見極める時に、ふと枝を見ると、たくさんのコケがついているのです。それが一種類ではなく、何種類も。黄色、薄い緑がかった灰色、青々としたもの。皆、木にしっかりと根を張り生き生きと育っています。
また、下草のアザミは、「私はここよ」と主張するように葉の棘を私のくるぶしに刺してくるのです。
少し痛いけど心地の良い感触でした。この時、地面の中、枝を通して見える高い空、芽を触る自分との間にひとつのつながりを感じました。まるで、線のような、しっかりとした糸のようなつながりです。
カトリーヌさんは午前中のセミナーで、「天と地の出会うところ、それが木である」と言われていたのですが、その出会いの場にいた不思議な感覚です。
地球環境を守るには、自然との共生の感覚を常に意識することだと思います。芽を摘むことで忘れかけていた感覚を、この木と木を取り巻く生命のおかげで取り戻せた気がしました。
カトリーヌさんは、エルビオリス創始メンバーの一人です。一番好きな花は何ですか?という生徒さんの問いに、「私はすべての植物を愛しているので選べないわ~」とおっしゃるほど、自然への愛に満ち溢れた方です。
植物と植物を取り巻く自然と共に生きているという気持ちを私も持ち続けたいと思います。
2019年4月8日(カトリーヌさんセミナー2日目)
今日は、アーティチョークの母液を使ってフィトセラピーの製品を作る作業をしました。
アーティチョークは浄化作用があり、肝臓と胆のうの機能を上げ、コレステロールレベルを良い方向へ調整することが知られています。
この時は、すでにカトリーヌさんが濾過したアーティチョークの母液を、アルコール水で希釈しました。
アルコール水は、アルコールと水をそれぞれ0.1グラムも間違わないよう正確に計りとり、混ぜます。この正確性は、「いつも同じものをお客様に提供したい」という気持ちからくるのでしょう。
その後、ダイナミゼーションとして1人100回ずつ振とうしました。
ダイナミゼーションとは、溶媒で希釈して振とうすることを指しますが、「希釈」と言ってしまうと、効果が下がるイメージがあるので、新芽のエネルギーを高めるようなイメージのある「ダイナミゼーション」という言葉を使うそうです。
また、ブノア社長は、ダイナミゼーションの間、話は一切せず振ることだけに集中するとのこと。ここにも、「すべての思いを植物とエッセンスに」というエルビオリスのこだわりが見られました。
ダイナミゼーションの後は瓶への充填です。充填の時も、瓶内部のスポイト部分が液面に触れない高さまで液体の量を調節することが大切だそうです。
ブノア社長は「プラスチックにずっと触れていると負の効果が出てくるわけではないが、プラスチックのような自然を脅かすものは極力使いたくない」とおっしゃっていました。
すべて自然のもので作りたいという強い気持ちが伝わってきました。
カトリーヌさんのセミナー内容(一部)
***自然のサイクルと人間***
人間は昔、すべての物を自然から得ていました。人間が自然の方に移動していました。これにより、自然のサイクルは保たれていました。
元々は森というものはなく、コケからスタートしています。コケが草や木になり、一年草、二年草、自然のサイクルといっても、常に同じことを繰り返しているわけではありません。
藻類が生まれ、苔が生え、シダが育ち、やがて一年生植物(一年以内に発芽し枯死)が生まれ、二年生植物(1年目に植物が育ち、2年目に花や実をつくる)、そして多年草へと続き、多年生の小低木は木の誕生を告げ、やがて森が生まれました。
人間が入り込まずに放っておくと、自然の進化は、常に進み続けます。反対に、人間が定住するようになると、すでに出来上がった植物を採ってしまうので、自然の進化はその影響を受けてしまいます。
***木は人間に例えることができる***
春になると、ミネラル分を含む樹液が木の中心を駆け上り、木々は育ち、森は活気づきます。
この上昇する樹液は、根(側根)から吸収されたミネラルが濃縮されたもので、導管を通って植物の各器官へと運ばれます。これは人間の身体によく似ています。
私たちはこのように、しばしば、木を人の体に例えて話します。木の足、木の目、木の髄、木の幹。幹は樹液が循環する部分であり、上部と下部にあるものが巡り会う場所です。
樹液の循環は血液、それ以上に同じ色をしていることからリンパ液を思い起こさせます。そして芽は、その種における進化そのものを顕しています。
***木は天と地の出会う場所***
地から天に向かってまっすぐ立っている木は、天と地の出会う場所でもあります。天と地の巡り合う場のなかの一点である蕾や芽には、すべてのエネルギーが凝縮されているのです。
これら芽のもつ目に見えない能力は、天と地が所有するエネルギーをチャージしているバッテリーのようなものです。
アミノ酸、ミネラル、ビタミン、遺伝情報を含む胚細胞(この一つの細胞から、植物の全組織が造られます)、オリゴエレメント、酵素、オーキシンやジベレリン(茎と根の成長や開花、結実に作用する植物ホルモン)などすべてが含まれます。
芽には植物のあらゆる部位(果実、葉、花、茎、樹皮、根、樹液など)にある情報だけでなく、天の支配する « 最良のものすべて »の遺伝情報が詰まっています。
芽には、発芽する瞬間の、成長の真っ只中にある若い組織が盛んに活動するために必要な、すべてのエネルギーが詰まっています。
この分裂組織は何にでも分化することのできる植物細胞の集まりで、成長するにつれ、それぞれの器官の構造や機能を獲得していくのです。
***芽の物質的な側面と精神的な側面について***
固定された遺伝子はそうそう変化することはありません。
なぜなら、自分自身を次世代へと残すシステムだからです。これにより、植物学上の分類が決定されます。固定された遺伝子は発現してタンパク質となり、同じく固定された化合物を作るよう働きます。
この化合物が薬剤となったりします。情報が固定されているので、常に同じ薬剤が作り出されるというわけです。
しかし、遺伝子の中にも、環境によって左右されるものがあります。
これらは、進化に結びつきます。植物のすべての特徴は、環境に適応しながら少しずつ進化し、いずれは全く別のものに変化します。
暑さ寒さ、湿気、乾燥、または土壌が酸性かアルカリ性かなどのビオトープ(生物生息空間)やテロワール(生育環境)などの、その土地のエネルギーにより、植物はそれぞれ進化していくのです。
同じ植物でも、住む土地によって細かいところが変わります。例えば、人の肌の色が違うとか、力仕事をする人は筋肉モリモリで、座っている人はその逆だったりというのに似ています。
精神的な側面については測ることができないので、現状を知るのは難しいです。
そこで、摘む人の心が重要になってくるのです。機械やモノを使って摘み取ってしまうと感じられないことが、自分の手によりエネルギーを感じることができます。
このように、植物の心と人の心が交わることが大切です。また、蕾や芽からできた商品により、人々を救うことができるということを考えてください。
摘むところから一商品となるまで、多くの段階を踏みますが、その段階中、同じ心を持って作ることが大切になってきます。